心臓の不安
全身へ血液がまわるのは心臓が動くからです。しかしこのシステムは実は心臓の力だけではなく、筋肉(とくに下半身)の強力なサポートを必要としています。身体が乾燥し下半身に余分な水分がたまってしまいますと(むくみ)と、水分に圧迫されて血管は満足に収縮・拡張をして心臓に血液を戻すことができません。
また、水分の滞留により「腎」が弱まり、下半身の筋肉が落ちてしまいますと、毛細血管が減少します。すると心臓はサポート役を失い大きな負担が強いられます。こうして行き場のなくなった血液が上へ上へ(上半身)と上がりすぎるために、冠動脈にもトラブルが生じるのです。
狭心症は、心臓の筋肉に栄養分を供給している血管(冠動脈)が動脈硬化で狭く細くなり、心筋への栄養や酸素が十分に供給されない時に生じます。突然の胸板は狭心症のサインということが少なくありません。
また、さらに細くなった冠動脈に血栓(血のかたまり)がつまり、それより先への血流が途絶えて壊死(えし)を起こした状態が心筋梗塞です。心筋梗塞の場合、痛みは胸骨下部から左前胸部に起こることが多いですが、左肩・左手・アゴに散らばることもあります。いずれにしても、痛みが15分以上続く場合は心筋梗塞の疑いがありますので、即、病院にいかれたほうがいいでしょう。
下半身の動脈がつまる病気に比べて、上半身の動脈がつまる脳梗塞や心筋梗塞などの病気が現代人には極めて多いようです。
こうした病気は、漢方でいいますと下半身の弱った状態=「腎虚(じんきょ)」といえます。一見、身体の乾燥とは無縁に思われる心臓ですが、実は身体が乾燥すればするほど心臓に与えるダメージは大きいのです。
心筋梗塞などの心臓病が末期に入り、心不全状態に陥りますと下肢からむくみがはじまります。そして、肺、肝臓、脾臓、腸とさまざまな臓器に水分がたまり、ひどい場合では1日に500グラム~1キログラムも体重が増えていきます。
そうしたときに、使われますのが、利尿剤、つまり、体内の余分な水分を排出するお薬です。利尿剤によって、細胞外にたまった水分が尿として排泄されますと、収縮力が低下した心筋も活力を取り戻していきます。こうして、心不全による死の危機から救われるのです。
だからこそ、心臓病の予防・改善には尿の出を良くして乾燥を防ぎ、下半身を鍛えることが肝要なのです。これらの予防、治療の手助けといたしまして、これからご紹介する方法を実行していただきたいと思います。
肉、無精卵、牛乳、バターなどの欧米食の摂りすぎは動脈硬化を促進しますので少なめにし、魚や魚介類をしっかりと摂りましょう。魚や魚介類に多くふくまれますEPA、DHAなどの油やタウリンが動脈硬化や血栓を予防してくれます。
ラッキョウを毎日3~5粒食べる。カレーライスにつきもののラッキョウをはじめ、ニラ、ニンニク、ネギなどのアリウム属に含まれる野菜は、冠動脈を拡張して血行を良くし、豊富に含まれていますビタミンB!が、心筋の働きを強くしますので、狭心症・心筋梗塞の予防・治療の一助になります。
週3~4回、超ゆっくりのウォーキング(毎分40mほどの速度からはじめましょう)を1日につき30分実行しましょう。
卵油を飲む
レシピ
① 卵黄(できれば有精卵)10個をフライパンに入れて強火にかけ、木じゃくしで根気よく混ぜ続けます。
② 焦げて煙が出てきても混ぜ続けますと、黒いねっとりとした油が出てきますので火を止め、この油を布でこして飲む(冷暗所に保存しますと長期保存も可)
牡蠣の季節には大いに食べる
牡蠣はタウリンを多く含み、血栓(心筋梗塞)の予防・改善に役立つばかりではなく、心筋の力を強め、冠動脈が縮まるのを防ぐ働きがあります。
朝食代わりに「ニンジン・リンゴ・タマネギジュースを飲む
レシピ
ニンジン 2本(約400グラム) →240cc
リンゴ3分の2個(約200グラム)→100㏄
タマネギ(約20グラム) →12cc
合計412cc(コップ2杯強)
PR
高脂血症、肥満に有効な方法
肥満は、全身の細胞の乾燥が象徴的にあらわれた姿といえるでしょう。水太りの原因である「体内の余分な水分」は「本来、細胞を潤すべき水分」であること思いだしてください。
細胞内からあぶれた水の分だけ、細胞は干上がっています。細胞間質にたまった余分な水分によって身体がふくらめばふくらむほど、肝心な細胞は乾燥してしぼんでいることになります。
高脂血症についても同様のことがいえます。高脂血症は血液の中に余剰物(脂)が多く残っている状態です。これは細胞が乾燥し、筋肉をはじめ、60兆個の身体の細胞の中で余剰物を燃やすサイクルが衰えた結果生じます。
だからこそ、年齢を重ねてからの肥満対策は「余分な水分をいかに排出し、乾燥した細胞をみずみずしくするか」がポイントとなります。
体内の余分な水を汗や尿で出す、便通をよくする、脂肪や糖分を燃やす原動力の「熱」を出すために、体重の約45%を占める筋肉を鍛えるなどが大切なポイントです。
■ 朝食代わりに生姜紅茶を飲む。
以前に紹介した生姜紅茶のページへ ≫
■ 「乾燥を防ぐ食べ物」を摂る。
食べ物の目安は色で判断すると簡単です。青・白・緑色の食べ物より、赤・黒・橙・黄色の食べ物をしっかりと食べる。
以前に紹介した乾燥を防ぐ食べ物のページへ ≫
■ 速歩きをする。
1分間に90メートル以上を目安に速歩きをしましょう。1回30分以上、週に3~4回行うと効果的。下半身の筋肉が鍛えられ、発汗、排尿、脂肪の燃焼がよくなります。
■ 入浴、サウナなどで発汗する。
水分排泄と同時に、気化熱で体内のカロリーが使われ減量の助けとなります。できれば生姜風呂、塩風呂などがおすすめです。
以前に紹介した生姜風呂、塩風呂のページへ ≫
■ ゆで小豆は排尿と排便をよくするので常食する。
鍋に小豆50グラムと600ccの水を入れ水分が半量になって、小豆が柔らかくなるまで約30分間煮詰めてつくります。
■ 海藻、豆腐、コンニャク、黒ゴマ、玄米など食物繊維の多いものをしっかりと摂る。
便通が良くなり、腸から血液への糖分や脂肪分の吸収を防ぎ、減量に役立ちます。
高血圧も身体の乾燥が原因 下半身の弱りが血圧上昇に直結します。
西洋医学の考えによりますと、高血圧というとまず利尿剤という考えがありました。これは、尿を出すことにより、高血圧の原因とされた血液中の塩分を水分と一緒に排出するためです。
一方、漢方では、高血圧は体内の余分な水分によって生じるとされます。水のため量の増えた血液を全身に送り出すには、それだけ力を加えて血液を流してやる必要があるからです。
つまり、利尿剤で血圧が下がるのは「塩分が出るから」ではない。
塩分とセットになって「余分な水分を出し、身体の感想を防ぐ」結果、血管の弾力性が取り戻され、血液の流れが良くなるためなのです。
細胞の乾燥は、筋肉の減少とも関係してます。筋肉のしっかりした下半身には、多数の毛細血管がが走り、血液を下半身に集めて頭寒足熱の状態をつくります。
しかし、下半身が衰えますと、筋肉の中にあった毛細血管も減少し、血液は必然的に上半身へと集中してしまいます。
血圧を計るときを思い出してください。血圧は上半身の腕で計りますので、血圧は上昇するのです。
したがって、高血圧対策で必要なのは、余分な水分を排出し乾燥を防ぎ、さらに下半身の筋肉を鍛えることなのです。
以下の方法がおすすめです。
■ タマネギとダイコンをスライスし、ワカメを加えたサラダを醤油味ドレッシングで毎日食べる。
タマネギは下半身を強くして血管を拡張するため、血圧を下げます。ワカメも降圧成分をふくみ、ダイコンのビタミンPは血管を強化します。
■ タマネギの皮の煎じ汁を飲む
タマネギの薄茶色の皮10グラムを、水600ml に入れた鍋に入れ、水が半量になるまで煎じ、これをこした汁を1日数回に分けて飲みます。
皮に含まれる茶色の色素(クセルエチン)に降圧効果があります。
■ 血流の流れを悪くする高脂肪の肉・無精卵・牛乳・バターは控えめにし、魚や魚介類をしっかり摂る。
魚や魚介類に含まれますEPAやDHAなどの油やタウリン(含硫アミノ酸)が血圧低下、抗血栓(こうけっせん)作用を発揮します。
■ 納豆、味噌、醤油、チーズなどの発酵食品を摂る。
納豆、味噌、醤油、チーズなどの発酵食品にはビラジンという抗血栓物質が入っていますので、積極的に食べましょう。
■ 生ジュースとして「ニンジン・リンゴジュース」を飲む。
ニンジン2本(約400グラム)→240㏄ リンゴ3分の2個(約200グラム)→160㏄=計400㏄(コップ2杯)
これを毎日愛飲しましょう。ニンジン、セロリ、パセリ、セリなどのセリ科の植物には抗血栓物質のビラジンを含み、ニンジンは下半身を強くし、身体を温めます。
また、リンゴの中の豊富なカリウムは、塩分を尿とともに捨ててくれる作用があります。
■ 毎日、ウォーキングやスクワット運動をして下半身の筋力をつけ、血液を下半身におろしましょう。
■ 37~40℃くらいのぬるめのお湯に15~20分入浴しましょう。
42℃以上の熱めの入浴では交感神経が緊張して血圧が30mmHg以上、上がりますので要注意です。
また、入浴によって身体が温まりますと、プラスミンという血栓を溶解する物質が体内で多量に生成される効果があります。